債権質

質権という担保権は、債権者が質権設定者から受け取った物を債務が弁済されるまで債権者の手許に置き、弁済がなされない場合に、その物から他の債権者に優先して弁済を受ける権利です。

質権は、物についての制度ですが、物と並んで無形の財産権も質権目的物となり、これを権利質といいます。

債権質は権利質の典型的なものです。

債権質を設定するに当たり、債権者と質権設定者との間で質権設定契約を結ぶ事が必要です。

平成15年以前の民法では、債権証書がある場合には、これを債権者に引き渡さなければならなかったのですが、改正により質権者への債権証書の引渡しの必要性はなくなりました。

ただし、手形、小切手、貨物引換証など、譲渡にあたり証書の交付が必要なものについては、その交付がなければ質権設定の効力は生じません。

譲渡性が認められない債権については質権設定はできません。

質権では、債務者が弁済をしないときに質物を法律上の手続によって換価するすることになりますが、これを行うためには質権の目的物が他に譲渡することができるものでなければなりません。

債権者がこの取得した債権質を第三債務者その他の第三者に対抗するためには、質権設定者から第三債務者に対し、質権設定を通知するか、または第三債務者から承諾を得る事を要します。

質権設定者から第三債務者への通知や第三債務者の承諾は、これを確定日付のある証書によって行わなければ、第三債務者以外の第三者に対抗できない事になっています。

第三債務者への通知は配達証明付の内容証明郵便によって発信し、承諾については承諾書を公証役場に持って行って確定日付を押印してもらいます。

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債権者が債権に質権設定の通知をしてきたが、代理人が受領証書を持ってきたので弁済した場合
→ 弁済は有効とはならない

理由:

  1. 債権者が債権に対する質権設定の通知をすれば、後、債権者は受領権限を有せず、債務者は債権者に弁済をすることができない
  2. 債務者は善意無過失とは言えず、弁済は有効とならない(480Ⅰ)

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