債権の消滅(弁済)

弁済

弁済とは、債務の本旨に従って債務の内容たる一定の給付を実現する債務者その他の第三者の行為であり、これによって債権がその目的を達して消滅するものをいう。その実質は、債務の本旨に従った履行と同じであり、ただ、履行が債権の効力面に視点をあてて眺めたものにすぎない。

弁済の法的性質については、争いがありますが、法律行為ではなく法律行為であるとされます。弁済が法律行為といえるためには、給付をする者(弁済者)がその行為をすることによって債務の弁済をなそうとする意思(内心的効果意思)を有し、これを表示することが必要ですが、弁済は、債権の目的が達せられたという事実によって債権を消滅させるものであって、給付者の効果意思の効果として債権を消滅させるものではないからである。

方法

弁済は債務者が債権者に対して給付を実現することによってなされるのを原則とする。しかし、例外として、第三者による弁済も法律上認められ(弁済者の問題)、また、債権者以外に弁済しても消滅する場合がある(弁済の相手方の問題)。さらに弁済の時期・場所・内容などについても規定がある。

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弁済についての条文
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474条 第三者の弁済

1項 債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りではない。

2項 利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

478条 債権の準占有者に対する弁済

債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

479条 受領する権限のない者に対する弁済

前条の場合を除き、弁済を受領する権限を有しない者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。

480条 受取証書の持参人に対する弁済

受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、又は過失によって知らなかったときは、この限りではない。

481条 支払の差止めを受けた第三者の弁済

1項 支払の差止めを受けた第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済すべき旨を第三債務者に請求することができる。

2項 前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。

483条 特定物の現状による引渡し

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき現状でその物を引き渡さなければならない。

484条 弁済の場所

弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権の発生のときにその物が存在した場所において、それぞれしなければならない。

485条 弁済の費用

弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は債権者の負担とする。

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