法律勉強ノート

株主の持つ権利

株主の持つ権利
決議 定足数
表決数
備考(定足数・表決数の加重軽減の可否)
単独株主権 (株主総会の
開催不要)
1株以上の株式 保有期間や裁判所の許可が要件に加重されている場合あり。
少数株主権 一定数以上の株式 保有期間、その他が要件に加重されている場合あり。
普通決議(309条1項) 過半数 出席した当該株主の議決権の
過半数
定足数は定款で変更・排除が可能。
特殊普通決議(341条 定足数は3分の1未満には変更不可。
特別決議(309条2項) 出席した当該株主の議決権の
3分の2以上
定足数を3分の1以上の割合に変更可能。
表決数を条文規定を上回る割合に変更可能。
特殊決議(309条3項) (なし) ①議決権を行使できる株主の半数以上
かつ
②当該株主の議決権の3分の2以上
表決数①②とも条文規定を上回る割合に変更可能。
特例有限会社の
特別決議(整備法14条3項)
(なし) ①総株主の半数以上(頭数要件)
かつ
当該株主の議決権の4分の3以上
表決数①は条文規定を上回る割合に変更可能。
特殊決議(309条4項) (なし) ①総株主の半数以上(頭数要件)
かつ
総株主の議決権の4分の3以上
表決数①②とも条文規定を上回る割合に変更可能。
総株主の同意 (なし) 株主全員の同意 表決数の変更は一切不可

また、創立総会の決議要件は以下のようになる。

設立時株主の権利
決議 定足数 表決数 備考(定足数・表決数の加重軽減の可否)
創立総会普通決議
(第73条1項)
(なし) 行使可能な議決権の過半数
かつ
出席議決権の3分の2以上
・309条2項の特別決議よりも重い
・議決権の代理行使及び不統一行使可能
・当該決議要件の加重軽減に関する会社法の規定なし
創立総会特殊決議
(第73条2項)
(なし) 設立時株主の半数以上(頭数要件)
かつ
総設立時株主の総議決権の3分の2
・設立時株式すべてに譲渡制限規定を設定する定款変更時に必要
・当該決議要件の議決権の加重軽減に関する会社法の規定なし
全員の同意
(第73条3項)
(なし) 設立時株主全員の同意 ・設立時株式すべてに取得条項規定を設定する定款変更時に必要
当該決議要件の議決権の加重軽減に関する会社法の規定なし

決議を要する事項

普通決議を要する事項(普通決議事項)

普通決議を要する事項は、役員の選任・解任やその報酬決定、共有物の果実たる剰余金の配当、欠損填補の為の行為などであり、原則として、会社を共有物、株主を共有者とした時の管理行為に当たるものが多い。以下は普通決議を要する事項で主なものである。

役員等に関する事項
書類・株式に関する事項
会社の計算に関する事項

役員選任のための事項(特殊普通決議事項)

特別決議を要する事項(特別決議事項)

特殊決議を要する事項

309条3項の特殊決議
309条4項の特殊決議

株主全員の同意を要する事項

株主全員の同意を要する事項は、定款変更を要するものばかりであるため本来は、特別決議を要する事項である。しかし、これらの事項は、特別決議で議決可能とすると、株主の地位を脅かす蓋然性が著しく高い為、最も困難な決議要件を要することとされている。株主の地位を脅かす蓋然性が著しく高い場合とは、株主の責任の性質が変わる場合又は経営陣によって乱用される危険性が高い場合であり、前者の例としては776条783条804条等がそれに類し、後者は経営陣への責任免除や取得条項の付与の承認などである。

株主全員の同意を要する事項一覧(主なもの)
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決議の省略

取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき議決権を行使することができる株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる(319条)。

株主総会決議の瑕疵

株主総会の決議に手続上または内容上の瑕疵がある場合には、そのような決議は違法な決議であって、その決議の効力をそのまま認めることはできない。しかし、決議が有効かどうかは会社、株主、取締役等の者の利害に影響を与えるので、これを一般原則による処理にゆだねることは法的安定性を害し適当ではなく、法律関係を画一的に確定し、瑕疵の主張をできるだけ制限することである。

そこで、決議取消の訴え、決議不存在確認、議決無効確認の訴えを用意し、決議取消、決議不存在確認、議決無効確認の判決には対世的効力を認め第三者に対してもその効力を有し(838条)、会社の組織に関する訴えを除いては遡及効がある(839条)。
なお、取り消しの訴えについては提訴権者と提訴期間を制限している。
決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる(830条1項)。
決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる(830条2項)。
株主等は、招集の手続又は決議の方法が、定款・法令違反などがあった場合、決議の日から3か月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる(831条1項)。