雑誌『月刊ペン』での次の記事が名誉毀損罪(刑法230条ノ2)にあたるとして、編集長の隈部大蔵が告訴され、初めて出版関係者が刑事の名誉毀損事件で有罪判決を受けた。
1976年(昭和51年)
- 3月号「四重五重の大罪犯す創価学会」
- 4月号「極悪の大罪犯す創価学会の実相」
刑法 第230条(名誉毀損)
- 公然と( )し、人の名誉を毀損した者は、その( )にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
《詳細》
事実を摘示、事実の有無《詳細を隠す》
- 死者の名誉を毀損した者は、( )を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
《詳細》
虚偽の事実《詳細を隠す》
-
刑法 第230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
- 前条第1項の行為が( )に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、( )があったときは、これを罰しない。
《詳細》
公共の利害に関する事実、真実であることの証明《詳細を隠す》
- 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の( )に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
《詳細》
犯罪行為《詳細を隠す》
- 前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、( )であることの証明があったときは、これを罰しない。
《詳細》
真実《詳細を隠す》
裁判要旨
一 私人の私生活上の行状であつても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによつては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法230条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる場合がある。
二 多数の信徒を擁するわが国有数の宗教団体の教義ないしあり方を批判しその誤りを指摘するにあたり、その例証として摘示した「宗教団体の会長(当時)の女性関係が乱脈をきわめており、同会長と関係のあつた女性二名が同会長によつて国会に送り込まれていること」などの事実は、同会長が、宗教団体において、その教義を身をもつて実践すべき信仰上のほぼ絶対的な指導者であつて、公私を問わずその言動が信徒の精神生活等に重大な影響を与える立場にあつたなど判示の事実関係のもとにおいては、刑法230条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる。
三 刑法230条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきであり、これを摘示する際の表現方法や事実調査の程度などは、同条にいわゆる公益目的の有無の認定等に関して考慮されるべきことがらであつて、摘示された事実が「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かの判断を左右するものではない。