最昭49.12.17|近親者に対する損害の賠償

【最判昭和49年12月17日民集18巻10号2040ページ】
不法行為による生命侵害があつた場合、被害者の父母配偶者及び加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうることは、民法七一一条が明文をもつて認めるところであるが、右規定はこれを限定的に解すべきものでなく、文言上同条に該当しない者であつても、被害者との間に同条所定の者と実質的に同視しうべき身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、同条の類推適用により、加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうるものと解するのが、相当である。

本件において、原審が適法に確定したところによれば、被上告人Bは、Aの夫である被上告人Cの実妹であり、原審の口頭弁論終結当時四六年に達していたが、幼児期に罹患した脊髄等カリエスの後遺症により跛行顕著な身体障害等級二号の身体障害者であるため、長年にわたりAと同居し、同女の庇護のもとに生活を維持し、将来もその継続が期待されていたところ、同女の突然の死亡により甚大な精神的苦痛を受けたというのであるから、被上告人Bは、民法七一一条の類推適用により、上告人に対し慰藉料を請求しうるものと解するのが、相当である。これと同趣旨の原審の判断は、正当として是認することができる。

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