最昭43.10.08|土地の賃借権の時効取得

土地の賃借権(債権)の時効取得

◆取得時効

・所有権以外の財産権-“物権”だけではなく,“債権”にもある。

真実の権利者ではなくても,特定の財産権を時効期間、平穏かつ公然と継続して行使した者は時効によって当該権利を取得することができます(民法163条)。

  1.  地上権(265条),永小作権(270条)
  2.  地役権(283条)-継続かつ表現のもの
  3. 土地の賃借権(601条),使用借権(593条)

▼債権は原則として取得時効にはなじまないとされていますが,独占的なもの・排他性のあるものについては取得時効が認められる場合があります。

例えば,土地の賃借権は債権ですが、判例によって認められています。判例では,借地契約が成立して後にその契約が無効とされても,

  • 他人の土地の継続的な用益という外形的事実が存在する
  • その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されている

この要件が二つとも具備されているときは,賃借権の取得時効がありうるとされています。(最高裁・昭和43.10.8,昭和45.12.15,昭和52.9.29など)

土地の所有者から土地を買い受けてその所有権を取得したと称する者Aから土地を賃借した賃借人Bが、賃貸借契約に基づいて平穏公然に目的土地の占有を継続し、Aに対し賃料を支払っているなどの事情がある場合では、その土地の賃借人Bは、民法163条の時効期間の経過により、所有者に対して土地の賃借権を時効取得することができる。

(最高裁・昭和62.6.5)

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