最昭40.03.04|占有の訴えと本権の反訴

Aは、自己の所有する土地をBに売却し、Bは、これをCに転売した。その後、Aは、Bとの売却契約を合意解除し、土地をDに売却したが、土地をDに引き渡したのは、Cが所有権移転登記を経た後であった。Dが土地上に建物の建築を始めたところ、Cが土地に立ち入って建築工事を妨害したため、Dは、Cに対し、妨害の停止を求めて占有保持の訴え(民法198条)を提起した。これに対し、Cは土地の所有権に基づき、Dを被告とする建物収去・土地明渡しを請求する反訴を提訴することができるか。

本判例は反訴の提起が民法202条の第2項に違反しないことを初めて明らかにしたものである。

民法202条は、占有の訴えにおいて本権に関する理由に基づいて裁判することを禁ずるものであり、従って、占有の訴えに対する防御方法として本権の主張をなすことは許されないけれども、これに対し本権に基づく反訴を提起することは、法条の禁ずるところでは無いとの見解である。

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