代物弁済の予約

金銭貸借の契約をして、借主が金銭での弁済が困難になった場合に、土地や家等の不動産や車両や貴金属などの動産を貸主に提供することで、本来の弁済に代えることを代物弁済といいます。
つまり、現金は用意できないので、代わりに土地や車両を渡すことで、債権者に納得してもらうということですね。

金銭貸借の契約をする際に、現金での弁済が出来ない場合は、不動産や動産を弁済に充てるという特約を設定することも可能です。
このように契約時に代物弁済を予め取り決めておくことを、代物弁済の予約といいます。

但し、債権額の何倍もの価値がある物を、代物弁済として取るような場合は、その契約は公序良俗違反として無効とされる可能性もあります。
債権額に釣り合った代物弁済の予約をすることが肝心です。

代物弁済の目的物が不動産の場合は、不動産が転売されないように仮登記の手続をしておく必要があります。(登記手続きは司法書士にご依頼下さい。)
単に契約書で不動産の代物弁済の予約をしても、登記をしていなければ、第三者へ転売されるリスクを残します。

代物弁済の目的物が動産の場合は、その動産が勝手に転売されないよう、監視が必要となります。

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代物弁済とは、借入金や買掛金が焦げ付いた場合にモノ(大抵は不動産)の所有権を債務者から債権者に移転することによって、借入金や買掛金などの債務の弁済をなすことをいいます。

代物弁済の仕組み

 代物弁済とは、例えば質屋でお金を借りて返せなくなったら質草を取られるようなものです。債権の担保としてあらかじめ定めたモノを代物弁済契約に特定して、債権の回収が滞ったときにそのモノの所有権を移転することによって債務の弁済を受けるように考えられたのが「代物弁済予約」です。

代物弁済予約のメリット

(1) 決済が早い……抵当権による債権回収は、不動産の競売か任意売却により行いますが、大変時間がかかり、処分価値も低くなります。これに比べて、代物弁済予約では予約完結権を行使して所有権移転の本登記をすれば、不動産の所有権が移転するので決済が早く、処理が簡単です。
(2) 債権者は不動産を取得できる
(3) 保全される債権の範囲が広い……抵当権では債権の利息・損害金は最後の2年分しか優先弁済を受けられず、根抵当権は極度の範囲が保全されるに過ぎませんが、代物弁済ではすべてについて優先弁済を受けられます。

 不動産を代物弁済予約の目的物とする場合には、予約契約を締結した時点で、「代物弁済予約による所有権仮登記」を行います。この登記は、不動産登記簿の甲区欄に記載されます。不動産に対する代物弁済契約はこのように仮登記を行いますので「仮登記担保契約」と呼ばれることがあります。
 
 
【2】 仮登記担保法による保護
 
 代物弁済契約によれば、本来、少ない債権の弁済のために高額の不動産の所有権の移転を受けることができます。例えば、1,500万円の債権の弁済に2,000万円の不動産の譲渡を受けるようなことができたわけです。いわば、差額の500万円は代物弁済契約による丸儲け部分(これを清算金という)です。

 ところが、これではあまりに債務者の利益を害しますので、仮登記担保法では次のような規制をしています。すなわち、代物弁済予約に係る予約完結の意思表示に加えて、担保権者に2か月経過後における清算金の金額を通知すべきものとされました。予約完結の意思表示をして2か月後に清算金を支払って初めて、代物弁済が完結します。また、清算金は債務者に渡るのが原則ですが、後順位担保権者がいる場合には、後順位担保権者が差し押さえることができるものとされました。

 このような規制があるので、担保権者はいわば丸儲け部分を手にすることができません。したがって、代物弁済予約は一部の金融業者を除いてあまり使われなくなっています。

 なお、代物弁済予約の他にも、売買予約を原因として仮登記をする例もあります。この売買予約も、金銭債権の担保としてなされることがほとんどです。この場合にも、仮登記担保法の規制が働きます。

 通常の事業者が行う債権保全策には、これらの手法を使うことは稀だと思いますが、これらの登記のある不動産には十分注意をする必要があります。

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